雑司が谷のソレカラ

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曼荼羅の中の鬼子母神

2月5日から「如月の掛け軸展」と題しまして、江戸時代に描かれた掛軸を展示しています。

なかでも日蓮宗曼荼羅に描かれている鬼子母神帝釈天は、何とも言えない可愛らしい表情をしていて、現代の漫画家が書いたんじゃないのか!と思うくらい現代的な感覚の絵なのです。

この曼荼羅にも描かれている鬼子母神、いったどんな神様なのかご存知ですか?

ちょっと調べてみました。

 

鬼子母神は「きしもじん」または「きしぼじん」と読みますが、雑司が谷鬼子母神は「きしもじん」と読みます。そして仏教の守り神として、また安産・子育ての神として有名ですね。

発祥はインドで、人間の子供を喰らう「夜叉女」と呼ばれる女の鬼でした。サンスクリット語でHariti(ハーリティ)、これを音写して「訶利帝母(かりていも)」とも言われます。

ある時、インドのラージャグリハに悟りを開いた独覚仏という名の人が説法にやって来ました。彼が開くという説法会には500人もの人々が集まったのだとか。この説法会に行く道中、人々は牛飼いの女の人に出会いました。そして彼女にも説法会に一緒に行かないかと誘いました。ありがたい法話の誘いにとても喜んで、妊娠していたにもかかわらず彼女は踊りを披露したのです。けれどこの女性はその場で流産をしてしまいました。そして彼女を介抱する人は誰もいなかった…。

彼女は堕胎した悲しみと憎しみとで誓ったのです。

「来世はかならずこのラージャグリハに生まれ変わって、ことごとく人の子を食べる」

この思いは現実になってしまいます。

彼女は鬼の夜叉女・ハーリティとして生まれ変わりました。仏陀羅国のパンチカという夜叉と結婚して500人の子供を産み、子育ての滋養のために毎晩、ラージャグリハ中の人の子を食べる凶行に及んだのです。

 人々は不安をお釈迦様に訴えると、彼女が産んだ子供のひとりをふしぎな力で隠してしまいました。ハーリティは悲嘆にくれて我が子を探し回ります。そしてお釈迦様のもとにわが子がいることを知り、お釈迦様のもとへ駆けつけます。

 お釈迦さまは…

「おまえは500人も子供がいるのに、たった1人失っただけでもそのように嘆く。おまえが食べた子供の親はおまえ以上に悲しみ苦しむのだ。その気持ちがわかるか?」

 ハーリティは心から悔い改め、もう人の子を食べることをしないと誓います。

彼女が「これから、わたしも子供たちも、食べるものがありません。いったいどうすればよろしいですか?」と途方にくれていると、

「わたしの弟子たちが食事のたびにおまえたちを呼んで、おなかいっぱい食べさせよう。だから弟子たちの修行の道を守ってほしい。」

そのようにお釈迦様はおっしゃって彼女に子供をかえしました。こうして、ハーリティは善神として生まれ変わったのです。

ハーリティは日本では鬼子母神と呼ばれ、江戸時代の頃には大変な人気者になったようです。

いつの時代も親は子の無事を願ってやまないのです。

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