雑司が谷のソレカラ

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画家・水村喜一郎さん「静寂と安らぎの描く詩人」

4月下旬から展示をはじめた「口と足で描く芸術家協会」所属の作家さんたちの作品。今回は水村喜一郎さんをメインとして展示しています。

昨日、新緑のイメージから夏を感じる作品に絵を入れ替えました。お店の雰囲気も何となく夏バージョンになりました。

今回展示しているものは、水村さんが「口と足で描く芸術家協会」さんのために特別に描いてくれた可愛らしく、ノスタルジックな絵葉書のような作品です。

 

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そこで、水村さんが今までに描いた絵を彼の言葉とともに少しだけ紹介したいと思いと思います。

●まずはプロフィール

1946年7月東京都生まれ。

9歳の時に高圧線で感電し両腕を肩から失う。

さいころから画家を夢見て、事故後すぐ口に筆をとり、14歳の時から油絵を描き始める。

17歳の春に初めて公募展に入選。これを機会に油絵への情熱が高まり、創作活動に打ち込む。

静寂と安らぎを宿す世界を独特の美しさで描き「描く詩人」といわれ技術とその絵の持つ力は傑出している。

 2013年5月、長野県東御市に自身の作品を集めた「水村喜一郎美術館」を開設。同年8月には、天皇皇后両陛下(今の上皇上皇后両陛下)が来館されたことでも話題になった。 現在、主体美術協会会員。日本美術家連盟会員。

 水村喜一郎美術館HP

 

水村さんと少年時代の思い出を塗りこめた油絵「水門」

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 水村さんが生まれ育った街は浅草から4つ目の駅、「鐘ヶ淵」。当時、近くを流れる荒川には帆掛け船や小型船舶が行き交っていたそうです。「あんな船の船長になりたい」と語っていた親友は、ある夏の日に家族とともに北朝鮮へ帰ってしまった。

夢や希望、そして不安を語り合った少年時代、二度と会うことができなかったその友との思い出を塗りこめているかのような荒川の「水門」です。

 

「青春の情熱を純粋に傾けた10代の思いを忘れたくない。絵の具の使い方をわかっていなかった頃に比べて、“無難”になりたくない、負けられない、というのがいつもあるんだ」

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運河の工場

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夕映えのポンプ小屋

 長野県に開設した美術館。「ひたむきに描いていた10代、20代の頃と比べて妥協していないか、ずるくなっていないか…それをいつも考えるために昔描いた絵を置いていたい。一画学生でいたい」これが自分の美術館を開設した理由。

 

「俺はこれからも、誰にもこびずに描き続けるよ」 「俺にとっての絵は、生きる道すじを証明するもの。まさに『画道精進』(がどうしょうじん)。こうとしか生きられない人生なんだ」 

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雪の降る夜

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引き込み線のある風景


「花は人のために咲くんじゃない」

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     どくだみ                あざみ

水村さんは現在、千葉県鴨川のアトリエで暮らしています。この「どくだみ」と「あざみ」は水村さんがよく描く花でもあります。

東京の下町にいた頃、どくだみは人に嫌われて気の毒だと思っていたそうです。トイレの近くとかで咲いていたから…「でもそれは人の思い込み、花は人間のために咲いているんじゃない。季節ごとに咲く花々、その中に彼岸花やどくだみもある」

どくだみの花ってこんなに可愛かったのですね…。

 

●「いつまでも少年の頃の純粋さを持ち続けていたい。マンネリになってはいけない」

水村さんにとって描くことは生きるということ。情熱と純真を心に抱き、まだまだ旅の途中なのです。